青豆のなるべく若く、大粒でないものを
      さやごと求めて実をはじき出します。
      米を普通に水加減して塩少量加え、
      この中に米の量の一割強の豆を混ぜてたき上げます。
      <青豆御飯> ○○○○○○○○○○○辻 嘉一

  ・・辻 嘉一 さんのレシピはこんな感じで書かれています。
母の料理雑誌の写真を眺めていて、
目に留まるページがあると、
それは必ず辻 嘉一 さんのものでした。


レシピには計量カップなどの数量が書かれてないんですが、
大人になってこれに従って作ってみると、
季節と旬の素材そのものが、
その時のおいしい食べ方を教えてくれるんだな
・・とわかっくる感じが・・。


そして、作っている自分が、やさしい心持になるんです。
大地や季節の恵みに直に触れ、
それに、食べる人への思いやりを添えて、
人から人へやさしさが伝わっていく・・。


戦後の料理本の記述には
「材料の持つ微妙な持ち味(それは淡い味です)
を時間をかけて味わい分けるという作業を厭い、
ひたすら分かりやすい調理重視の料理へと走る、
いわば味覚における「短絡的思考」が」
影響しているとのこと。


辻 嘉一 さんの心には、
太平洋戦争時にビルマ戦線で味わった、
故郷のきれいな水と、母への想いが
強く流れていることを知りました。


「水がないことが人間にとって本当に苦しかった」


料理人の技などではなく、
もっと人間にとっての根源的なことを
伝えたかったんだな。

                 *
    「反戦! と訴える、そういう(行為)は上澄みだけになってしまってる。
    はじめは学生が気づくこと、次に労働者、
    ・・そして大事なのは、
    その人の恋人やお母さんがおにぎりを握った時に、
    世の中は変わるんだ」
 (正確な記憶ではありませんが)


2年前TVで、高田 渡 さんが話されているのを見た時は、
時々いい加減なことも言う人なのかな?
なんて思ったんだけど。
そうじゃなかったんだと思えてきた。