m-poko2006-07-10

ベルヴィル・ランデブー

BELLEVILLE RENDEZ-VOUS
(原題 Les Triplettes de Belleville)
2002年 (フランス、カナダ、ベルギー)
監督・脚本・絵コンテ シルヴァン・ショメ

DVDで見ました。

冒頭の音楽番組シーンが凄い。 ジャンゴ・ライハルト(この人だったのね)、ジョセフィン・ベーカー、フレッド・アステア、グレン・グールド(ちゃんと鼻歌歌ってる)・・。
おばあちゃんと孫の家のTVにそれらのミュージシャンたちが登場すると、まるで当時(戦後)のヨーロッパのリアルタイムの人間になったかのような錯覚に---それほど引き込まれてしまった。(ああ、当時は彼らがリアルタイムで・・こんな感じだったのか)

若い両親を失くした、ほとんど生気の感じられない家。
なんとかして孫を生かしてやりたいと思っているだけの、どこにでもいそうなおばあちゃん・・。いかにも無力に見えるのに、孫を救い出すためなら手段を選ばない。
そしてそのおばあちゃんと即、意気投合して共に戦う三つ子のジャズシンガーの老姉妹。

彼女達が挑むのは巨大マフィア社会。
キッチリと両脇を固めて自分の身を守るボス達を頂点に、多くの手下を従え、末端には使い捨ての者を・・。(その中では誰一人逆らうことはできない)
ピラミッド型のがっちりとしたヒエラルキーのシステムを作ったそのマフィア組織は、男性社会の暗黒面を象徴しているようにも思えた。

その中枢部に真っ向から素手で乗込むおばあちゃん。
彼女を突き動かすのは、ただ孫を救い出したいというその一心。

ところで、この孫の方はまるで機械のようだな。自分を動かしているものがマフィアであろうと、正統なレースであろうと、ただひたすら機械のように・・

爽快ながらもとてもブラックなのは、私達人間の姿をとても鋭く描いているからかな。人間の姿をありのままに見ることができる心の視座を持っていて・・ ヨーロッパは大人だな。
少年文化、冬○ナ、・・私いらないわ。
http://www.klockworx.com/belleville/