m-poko2006-04-21

○○細野晴臣&東京シャイネス」福岡公演
○○○○西南学院大学 ランキンチャペル


行ってきました。
すぐそばに海、福岡ドーム、そして新緑の中を歩いて行くとすぐに西南学院大学、その奥に今回の会場の小さなチャペルが。
このランキンチャペルの前には元寇の時の防塁跡、建物の裏の敷地には今でも白砂と防風林の松がゆったりと残ってて---かつての海岸線だったんですね。)
地元の私にとっては身近な雰囲気の所で、ここにホントに細野さんたちが来て演奏して下さるなんて、ステキです。


[開場]18:30
チャペルに入ると、ステージ右手上に美しい彫刻が施された巨大なパイプオルガン、左手上に十字架。とは言ってもシンプルでこじんまりとした雰囲気です。

私が入った時は、スピーカーから、デイジーラジオでかかるような古い曲が聞こえてきて、イイ感じです。古いレコードのチリチリという音がなんとも心地よく、耳を傾けるうちにとても落ち着いた気持ちになってきました。ワイルドスケッチショウの時のラストで流れた曲がかかって、まもなく開演です。


[開演]17:30ごろ
東京シャイネス登場。向かって左から
高田漣(Pedal Steel)、浜口茂外也(Dr.)、伊賀航(Ac-B.)
三上敏視(Acc. El-G.)、鈴木惣一朗(Mandolin. Cho.)、高野寛(G. Cho.)

今回は高田漣さんまで黒っぽいスーツ姿、髪も短めにされてて。全体が一層大人っぽく、ぐっと落ち着いた出立ちがステキな東京シャイネスですよ。
そして大きな拍手に迎えられて、ステージ右から細野さんが登場。緊張して足がもつれたふりなんかされるんだけど、リラックスされた感じ。
そして・・


[前半]
1. 第三の男
意表をついてのこの曲。細野さんのギターが爪弾かれて始まり、途中から東京シャイネスがゆっくりと演奏に加わってきて。あの映画のサントラに比べてややゆったりとしたテンポで奏でられ、会場がまるで40〜50年代のヨーロッパの映画音楽が聴かれていた時代のやさしい空気に包まれていくように(私には)感じられました。 私の家にある古いレコードの一曲目の曲。偶然なんだけど、それを今目の前で細野さんが演奏されているのが不思議で。最初の緊張感が消えて、深い深い安心感に抱かれるような、夢のようなひと時にすぅーっと誘い込まれていきました。
でも、細野さんが、一体どんな気持ちでこの曲を最初に演奏されたのか。知りたいな。

それにしても、細野さんの雰囲気が違う・・。やさしい感じがあって、こちらの私たちの方を向いてくださっている感じがして。ステージ上で奏でる音が、ふわ〜っと会場に広がるんだけど、細野さんの心はスッとこちらへ届いてくる感じがとてもします。

2. ろっかばいまいべいびい
この曲も、細野さんが爪弾くように演奏を始めて、途中から東京シャイネスが加わって来て・・感動的。狭山から4回目になるのに、繰り返しのような感じはどこにもありません。演奏のスタイルとか見せ方ということではなくて、音楽が生まれる最初の感じを大事に演奏しているような、そんな感じのする演奏でした。

3. 暗闇坂むささび変化
曲が始まると「おぉ〜」という歓声。はっぴいえんどファンの層が相当に厚いのですね。

続いて・・
4. 僕は一寸

5. LOTUS LOVE
細野さんがギターを抱えて歌う、アコースティックの「ロータスラブ」。
一番好きな曲のひとつです。
細野さんの歌が、もの凄く切々と伝わってきます。ステージがとっても近くに感じられて、細野さんの心にふっと触れてしまうんじゃないかという感じがしてしまってドキドキする瞬間が何度もありました。 高野寛さんの高音ボーカルがさらに美しさを添えていました。・・いや、そんなことよりもぅ。。

6. モーガン・ブギ
京都で披露された新曲。あぁ、やっぱりいい! かっこいい!
私の記憶違いかもしれませんが、この曲の曲紹介で細野さんが、“カントリー”、“ウエスタン・スウィング”、という言葉を挙げていたように思いますが(知識がなく、よくわからなくてすみません)、ロックが生まれ出て来そうなこのころのワイルドさ、自分はやっぱり好きなんだなぁと実感。

さて、これに続く6.〜7.〜8.〜11はほんっとにノリノリのカッコイイ演奏でした! 最高です! 椅子席にじっと座って聴くのが拷問に等しかったです。

7. Pom Pom 蒸気
(メリル・ムーア) もうっ、ノリノリ! 演奏後、細野さんも「こればっかりずっと演っていたい」と(ええ演って下さい!)。京都よりもややアップテンポだったかな。


さて、確かこの辺りで「次の曲が終わったら、休憩を入れますね」と予告をされました。

〈休憩について〉    ○○○○○○○○○○    -- 加筆済 --
この時私はなんだかとってもうれしくて。
細野さんが、ご自身がリラックスして演奏できるスタイルを探されていることが。

そうか、私はチケットを買い、引換えにその金額と等価の週末用のエンターテインメントをステージ上の人たちに要求する---
  そんなふうな“消費”行為をしているのではないんだな。
  楽しんで音楽を演っているところを垣間見させてもらえたら。何度か足を運ぶ中に、もしもそんな瞬間があって、そこに一瞬でも居合わせられたらこんなに嬉しいことはないな・・
自分にとっては、コンサートに行くことってそんな気持ちなんだということがわかってきました。

実は京都公演のとき、この点、気になってたのでした。もしかしたら観客に合わせてムリをして十数曲もの曲を、立て続けに演奏をされているのではないかと。聴き手がそういうスタイルを求めているのか・・ そもそもこのスタイルはどうやって定着したのかなと。


個人的には、今回のこの休憩は(そして次に書いた急須にお茶も)、聴く側の私にとってもぐっとリラックスして聴けてとってもよかった〜(私はライブ経験がほとんどないので・・会場の他の方はどのように感じられたんだろ〜)


〈急須にお茶〉
今回、細野さんの椅子の横に急須が置かれていて、演奏の合間に、ご自分でお茶を注いで、それはそれはおいしそ〜に飲まれるんです。その仕草までが美しくて、つい見とれちゃった。 しかもその姿が不思議と違和感がなかったんですよ。そういえば高田渡さんはライブでお酒を用意され「こういう時はふつ〜お通しが出てくるんだけど・・(笑」なんて言ってましたね。(「タカダワタル的」) 細野さんのライブ、そのうちお茶菓子まで出てくるようになったりするのかな(笑)。


―メンバー紹介―


8. ハイヒール・スニーカーズ
くぅ〜、カッコイイ〜!!


〜 休憩(10分間)〜
「皆さんも休憩されてください」、メンバーには「残っててもいいよ」[この間に(ステージで)何かやるかも・・」と言って、細野さんは喫煙タイムのため退場。(ソレ、増刊号のCM中みたいで面白そ〜)


[後半]
9. 香港ブルース
10. ブラックピーナッツ
カリプソをやります」と言って演奏。

11. チャタヌガ・チュー・チュー
ノリノリ! じっと椅子に座って聴くなんて、絶対ヘン。 歌詞が一部博多バージョンでした。

12. ハリケーンドロシー
ドロシー・ムーア…フレッド・アステア辺りのダンス、あのイメージで曲想ができました」という内容の解説。「でも、日本はこんな感じです」と言って次の曲へ。

13. しんしんしん
曲が始まると、会場「おぉ〜!!」
物凄い演奏でした。というか、細野さんが。ものすごかった。歌詞が・・ずし〜んと響いてきてしまった。が〜ん。。

14. 夏なんです
15. 終わりの季節
細野さんのカウントでアップテンポで始まって、すぐにやり直し。ナッシュビルスタイル(by 惣一朗さん)だと思い出してゆっくりと始まる。「6時起きの〜」まで行った所で、「今日はサービスです」といって止め、ちゃんと理想のテンポでもう一度演奏し直されました。なんだかうれしかった。

16. はらいそ
聴いてるうちに、もうお別れなのかと。そうしたら、もうこんなに遠い福岡にまた来ていただけることなんか望めない日々にまた戻るんだと思うと。。 どうしたらいいのかわからなくなって、ホントにホントに悲しくて。どうしたらいいの。。。


---アンコール---
17. 風をあつめて
なんと! 間違わないVer.を聴いてしまいましたョ!(笑)

18. 幸せハッピー
イントロが始まったとたんに、みんな音頭の手拍子。会場全体が手拍子で明るく盛り上がります。


〜 そして全員がステージ前方に並んで一礼して退場しようと 〜


すると、満場の拍手の中、会場前方の左右両側辺りから、ひとりひとりと、自然に立ち上がって精一杯の拍手を送り始めました。とても暖かいけれどもお行儀のいい感じのこの日の福岡の客席---終始そんな感じだったのに、このときになると、本当に一人一人、自発的に、感動を伝えたくて立ち上がって。感動して私も思わず立ち上がらずにいられず。みな同じ気持ちだったようで、後ろを見るとあっという間に会場全体の熱い熱いスタンディングオベイション! 煽るような雰囲気のない、暖かい静けさのある会場の中から起こっただけに、本当に感動的でした。


---アンコール---
19. Stella
本当に強く、強く求められたアンコールによって、「それじゃあ・・」と言う感じで再びステージへ。
観客から本気で呼び戻されなければやらないつもりだったようです。
「幸い、あと一曲だけなら(レパートリーが?)あるので・・」と。そうして細野さんのギターで奏でられたメロディーは、本当に美しく。
それはたまたま奇跡的な瞬間を見てしまった---そんな感じのする、そんな佇まいの演奏でした。細野さん、とちゅう間奏部分でギターを奏でながら、客席のことを忘れてふっと曲の中に深く入り込んで、どこかへ行ってしまったのではないかと思われるような瞬間があって、ドキドキしてしまうほど。本当に夢のようでした。この時の細野さんの雰囲気。。一生忘れられません。

そして会場は、また立ち上がって、熱い熱い拍手に包まれました。本当に心からの拍手です。


<東京シャイネスの演奏について>
狭山から数えて4回目となった福岡公演、東京シャイネスのメンバーの演奏が、とても進化しているのを感じました。私は音楽の知識がなくて、適切に分析できないのが残念なのですが、
伊賀さんのウッドベースが、終始ものすごくよかった!
高野寛さんのエレクトリックギターが随所でほんっとにカッコイイフレーズを奏でてて、聴きほれてしまった。
いいフレーズと言えば――−高田漣さん。ペダルスチールという楽器の表現力を初めて教えてもらいました。
そして東京シャイネスは、浜口茂外也さんの控えめなドラムがよかったのだなと、今回よくわかりました。
マンドリンもホントに美しかったです。音楽全体をよく理解して繊細&ワイルドに奏でる演奏がされているのだなぁ、と感じました。今回の細野さんのバンドの本当の凄さなのだなと。このことはアコーディオンにも現れていたように感じました。それぞれの楽器が、自己主張はしないのに伸びやかで、全体がホントにホントに“音楽的”なんですね。


[余談](狭山〜九段〜西部講堂〜ランキンチャペル)
ところで、こんなレポを書くと、福岡ライブがベストだったような印象を与えてしまうかもしれませんね。でも書いた私でさえ、日を置くにつれ、そんなことではない気が次第にしてきています。

例えば…京都での、スタンディングで会場がノリノリに揺れた「チャタヌガ・チュー・チュー」他。「モーガン ブギ」が初演された感激。福岡では、木津茂理さん、高遠彩子さん、そして福岡にファンも多いKAMA AINA青柳拓次さん)のオープニングアクトはなかったし。公開リハーサルも。


狭山〜九段〜京大西部講堂〜西南大ランキンチャペルは、つながっていて、それぞれにその時、一回限りの“繰り返し”の不可能なものを生じさせては次へと進んで。 細野さんは、何か新人さんのように新鮮に向き合っていて、その都度、実験をされてて。私たちはそれを、それぞれの場で少しずつ垣間見ていたのだなぁ。

そしてサポートメンバーの東京シャイネスが、そんな細野さんと一緒に流れて進化していくことのできる音楽家たちだったんだなぁ・・ということも。今回の福岡を観て、感じました。

<パンフレットから 〜 HMF>
パンフレットの川村恭子さんの記事。帰宅後、開いて読んでいたのですが、少しだけ転載してもよいですか? 去年のこの時会場の人たちが帰っていたら、私はこの福岡公演を観ることはできなかったんですね。というより、そもそも東京シャイネスがなかったのですね。。 (“中略”は“---”で記しました)

(「ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル(2005 9/4-5)@埼玉県狭山市」について)
雨、と一言で言うにはあまりにも激しい雨だった。9月4日、---
ステージは、ちょうど公園のすり鉢状になった底辺、---そのため、雨水は川のようにこのステージ前に集中する。すでにスタンディングをよぎなくされていた観客の、さらにステージの前の人々は、むこうずねまで水につかっている。雨があがったからといって、雨ガッパすら用をなさなかったずぶぬれの体は、日が落ちてからずいぶん冷えたに違いない。それでも、多くの人が帰ろうとせず、じっと誰もが待っていたのだ。---細野晴臣が登場するのを。---あの『HOSONO HOUSE』の歌たちを聞くことができるのではないか、という思い。---


○○○○○○○○○○○そっか、こんなふうに着こなすのね!



-- おまけ --
キャンパス内に落ちてたマツボックリ